2008年4月1日火曜日

「下下戦記」吉田 司




 ニコニコ動画に水俣病のNHKアーカイブス映像「奇病のかげに」が上がってるよ その2 関連書を紹介
よくもわるくも「ゴーマニズム宣言」や森達也の仕事にひっかかる人は必読の名著です 

 被害者を単に「社会問題」としてしか語れない不自由が、被差別者の不可侵化→聖化の腐敗を生む構図は、最近なら部落解放問題でおなじみ



 「下下戦記」で水俣に移り住んだ吉田司は、若き「被害者」たちとの交友を赤裸々に描くことで、人間のいやらしさおもしろさ切なさうっとおしさを見事にあらわしています 重度病人を平気で差別する軽度の患者 工場からおりた謝罪金で風俗に走り車を買い家を建てバブルに沸く町の様相 

 登場するのは新聞には絶対に出てこないどーしようもないやつばかり が、読んでいるうちに情がうつって他人と思えなくなる
 書きなぐられたラブレターや家出の宣言文の写真が随所に挿入されて、胸キュン青春ものとしても読める こういった真っ当なルポが「奇書」とされ、公式発言しか出来ない左翼や右翼に黙殺されたその理由は、本書にあたって考えてみてください



 類書



無敵のハンディキャップ―障害者が「プロレスラー」になった日



新ゴーマニズム宣言スペシャル 脱正義論